タンマは最高の安全

ここ十年の間に、数えきれないほどたくさんの災害が、九州から北海道まで、日本中順に交代で起きています。紀伊半島や四国、広島・岡山・神戸は大災害があっても、大阪は今年地震があったものの狭い範囲で、広範囲の災害はほとんどないと思っていたら、かつて日本では経験したことがないような強い台風で、頑丈層に見える建物の屋根や窓や看板が、ポスターでも剥がすように簡単に剥がれて空に舞い、自家用車やバスやトラックまで、道路上の紙箱のように転がっている映像を見ました。
 
そして今日は北海道の地震です。北海道は時々地震がありますが地域的な被害で、都市の人にはほとんど影響がなかったので、道内全体の人に、停電や生活の不便さなど、一定の被害を与える災害が起きたようです。
 
何が起きても、そこに居合わせた人間は堪えるしかありません。空港の施設に閉じ込められた人も、孤立した建物にいる人も、家ごと土砂に埋もれてしまっても、あるいは道路が寸断されていて買い物に行けない人も、あるいは持病の薬が切れて病院へ行けなくても、何が起きても、大変な苦労をして対処するか、あるいは耐えるしかありません。
 
お腹が空いても、食べ物が届くまで耐えるしかなく、眠れない夜も耐えるしかなく、悪辣な環境にも耐えるしかなく、急に体調が悪くなれば、運よく救急車で病院へ搬送してもらえても、病院へ行けば苦痛が消える訳ではなく、病苦の原因が消えるまで耐えるしかありませんが、そんなこと言い出し難いと感じれば、尚の事耐えるしかなく、堪えている間に死んでしまうこともあります。
 
災害でない平常時に家で正常に生活していても、毎日降り掛かってくることに、魔法を使う能力がない人は堪えるしかありません。
 
このように日本中で災害が起こるのは、日本中の人が同じ原因を作っているからで、まだ起きていない地域も、まだその時が来ないだけで、あと数時間後かも知れません。
 
身内の人の死に遭遇した人が「守ってやれなかった」と悔やむ言葉をテレビなどで聞くことがありますが、人は他人を守ることはできません。自分自身でさえ守る術がないのですから。安全のためには、高い防波堤や、耐震住宅などを作ることでなく、ブッダが八正道で言われている「正しい業」「正しい生活」をして、原因であるカンマを作らないこと以外にはありません。
 
ブッダは次のように言われています。

大王。善人が大きな消費財(財産)を手に入れると、当然自分を十分幸福にし、両親を十分幸福にし、妻を十分幸福にし、下僕や使用人を十分幸福にし、友人や相談役を十分幸福にし、当然すべてのサマナ・バラモンに捧げる供物、報いとして幸福がある善である側、極楽になる上方に、素晴らしい結果がある布施として供物を供えます。
 
彼がそれらの消費財を、このように正しく使っていれば、国王はその財産を没収することなく、強盗も持ち去れず、火事にも遭わず、水害にも遭わず、嫌っている相続人も奪うことはできません。大王。このように正しく消費しているそれらの消費財は、当然無駄に消えず、消費することができます。
 
 大王。村や街に近い所に、緑陰と、昇り降りに便利な桟橋があり、透明で清潔で、水を飲むことができる池や沼があれば、人が自由に汲んで行って飲んだり浴びたりできるように、大王。善人が大きな消費財を手に入れると、当然自分を十分幸福にし、両親を十分幸福にし、妻を十分幸福にし、下僕や使用人を十分幸福にし、友人や顧問を十分幸福にし、当然すべてのサマナ・バラモンに捧げる供物、報いとして幸福がある善である側、極楽になる上方に、素晴らしい結果がある布施として供物を供えます。
 
彼がそれらの消費財をこのように正しく使っていれば、国王はその財産を没収せず、強盗も持ち去れず、火事にも遭わず、水害にも遭わず、嫌っている相続者も奪うことはできません。大王。このように正しく消費しているそれらの消費財は、当然無駄に失うことなく、消費、使用できます』。
 
昔はお金のある人もない人も、それなりに周りの人に祝いや見舞、中元や歳暮、お土産などの形で周囲の人を喜ばせ(幸福にし)ていましたが、今はそうした伝統も消えそうになり、集落の「池」のように人々に恵みを与える人は、真似事ほどでもいません。そして現代は、国は没収しないし、強盗も全財産を奪わないので、多くの人に一度に結果を出す水害や地震などが、次々に起きています。

昔はこのような災害は何十年に一度でしたが、今年は今までの規模より一段上になりました。これは今回だけでなく、新しい時代の災害の標準規模になると思います。人が東洋の伝統的習慣を捨て、更にアメリカ式の生き方をすれば、災害の規模と頻度は、更に拡大すると見えます。

ブッダブッダの教えは真実だという信仰、あるいは帰依がない人は、「何、寝言を」と思われるかもしれませんが、ブッダの教えは自然を観察して見えた真理なので、自分で良く観察して見てください。

まだ社会保障がない国々では、相互に助け合うことがあるので、アメリカや最近の日本のような災害は少ないです。自分の親や家族や親族まで助けていた昔の日本にも滅多にありませんでした。そのようにお金の使い方の意図と災害の因果関係を見てください。

個人でない会社などでも、社会貢献をする大会社は潰れませんが、急成長して世界に進出した下請け会社などは、大会社の自覚がなく、社会に還元しないので、奇妙な出来事で突然破産します。

自分の安全は自分で正しい生活をすることで守るしか方法はありません。誰も人は人を守ることはできません。「ブッダダンマは最高の安全」「究極の安全」と言われます。政治や行政には個人の安全を守る能力はありません。もしその人が安全の原因を、自分自身で作っていなければ。

これだけ頻繁な災害の連鎖を見て危険や不安を感じたら、ブッダが最高の安全と言われている八正道に興味を持たれてください。少し守れば少し安全になり、非常に守れば非常に安全になります。それは個人を安全にし、安全な人が増えれば社会も安全に、災害も少なくなるか、人に被害のない場所で起きるようになります。

今度収入があった時、収入がある度に周囲の人をちょっとずつでも幸福にして(喜ばせて)みませんか。それはブッダが教えている安全を買う経費です。