多くの動物が解脱する時代

プッタタートサイトの「短文」の頁にある「涅槃は人生の目標」という話で、プッタタート師が占星学を認めているような発言があるのを見つけました。師は折に触れ、占星学も含めて「占いは根拠がない」と言われているので、占星学愛好者である私にとしては、師が、そのような類の占星学しかご存知なかったことを残念に思っていました。

 

しかし「涅槃は人生の目標」という文章を読むと、単純で低レベルの、庶民の星占い、素人の占いでなく、本当の占星学をご理解いただけたと感じ、嬉しく感じました。その一部を引用します。

 

『生物学の進化の法則、特にダーウィンの論理でも、あるいは仏教の系統である二十四縁と縁起でも、世界は物質面か心の面の、どちらかのレベルが少しずつ高くなっていると、どこででも簡単に観察して見えるように、じっと止まっている物、あるいは低くなる物はありません』。中略
『揃って物質を重視する時代には、現代の科学が目覚ましく進歩しているように物質の目標を達成し、そして心を重視する時代には、過去の阿羅漢の時代のように心の面の目的に到達します。世界は物質面に頑固でも、思い切り懲りれば、自然に心の面に振り向きます。そしてその時代です。地球がこの星座に入る度に、一定数のたくさんの動物が世界から解脱するのは』。

 

占星学では、すべての惑星は十二の星座を巡っているので、十二の周期で繰り返していると見ます。分かり易いのは太陽で、春分の日から牡羊座が始まり、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、秋分の日からは天秤座で、蠍座、射手座、山羊座水瓶座魚座と一年で一周します。つまり太陽の一周を一年と規定しています。

 

星座と、惑星にはそれぞれ意味があり、牡羊座は創始で、学校や役所の年度初めにふさわしく、獅子座は遊び好きなので夏祭りはこの時期に集中し、山羊座は伝統を重んじるので、正月やクリスマスなどの行事があります。

 

占星学では、太陽の軌道である黄道自体にも周期があり、およそ二万四千年かけて12星座を一巡しているそうです。西暦紀元からの二千年間は魚座にあり、魚座は信仰を表すので、この二千年は信仰の要素が強い宗教がたくさん生まれ、その時代を支配していました。(大乗やキリスト教イスラム教などは、魚座の時代に生まれました)。

 

その前(紀元前二千年まで)の二千年は牡羊座にあり、牡羊座は戦いと創始の意味があり、規律を尊重します。この時代の世界は戦いと、幾つもの王朝の生滅に満ちていました。法と律を重んじる仏教はこの時代に生まれました。

 

紀元前二千年よりもっと前は牡牛座で、牡牛座は美しい物、美味しい物が大好きなので、この時代と思われる美しい宝飾品が発見されています。

 

西暦二千年を越えた今は水瓶座に入ったばかりです。これからの二千年は、水瓶座や、守護星である天王星の意味を解釈することで、時代を読むことができます。一般には洪水や電波などの意味があり、どちらも、ここ二十年で、非常に増えていると見えます。

 

本論に戻ると、プッタタート師が言われている「この星座に入る」というのが、何を意味しているか知りませんが、それは、三年後に来る、冥王星水瓶座に入る時代ではないかと思います。冥王星の周期は約247年なので、二十年くらい一つの星座に滞在します。

 

冥王星山羊座にあります。山羊座は伝統という意味があるので、冥王星が入ると「伝統の破壊」と読めます。この二十年間は、世界中の王族、皇族に、前代未聞の「伝統の破壊」と見られる出来事が相次ぎました。大相撲の世界でも伝統が踏みにじられ、ジェンダーなどの言葉が注目されるのも「伝統の破壊」の一つの形です。

 

音楽や芸能、文化全般にも、伝統や基礎は姿を消し、そうした物を無視した物が主流になっているように見えます。食べ物も、伝統の味でなく、悪趣味とも言えるアレンジが幅を利かせています。

 

それでは冥王星水瓶座に移動すると、どんな時代が来るのか、冥王星は発見されて百年たっていないので、まだ良く知られていません。水瓶座は理想や目的、博愛、福祉などの意味があり、それらに破壊と再生が現れると読めます。洪水も意味するので、豪雨による災害は、ますます激化するかもしれません。

 

ところで、冥王星水瓶座に入ると、上昇宮蟹座の人のホロスコープの9室に、順次冥王星が移動するので、それらの人々が宗教に関心を持ち始めます。今(までの19年間くらい)は上昇宮双子座の人が宗教に関心を持っているので、興味が上辺だけで、写経や御朱印集め、パワースポットなど、非常に軽薄な興味でした。その前の20年(1984年から2003年くらい)は上昇宮牡牛座の人が宗教に関心を持ったので、体を使う瞑想が流行りました。

 

1964年から1984年くらいの間は、上昇宮牡羊座の人が宗教に関心があったので、新宗教の勃興、あるいは宗教の改革があったと推測できます。1944年から1964年くらいまでの間は、上昇宮魚座の人が宗教に関心があったので、信仰面が強調されたと思います。プッタタート師の若い頃の説教師は、信仰面の教えを説くだけだったと言うのは、古い伝統の他に、この影響も重なっていたかもしれません。

 

2024年からの20年間は、信仰でも、信仰の物質でも、瞑想でもない、教えの実践である仏教に関心を持つ人が現れると希望的観測をします。教えの実践に関心が集まれば、プッタタート師が言われているように、「一定数のたくさんの動物が世界から解脱」するかもしれません。(冥王星がそれぞれの星座に滞在する年号は、おおよそです)。

 

私は、その時代を見ることができるかどうか分かりませんが、その後は二百五十年後を待たなければならないので、できればこの生で、この目で、世界の変化を見たいと願っています。