味噌と癌の因果関係

味噌が幾つかの種類の癌の発症の防止に効果があるという情報があります。その根拠を探すと、味噌汁を毎日三杯以上飲んでいる人と、一二杯飲んでいる人と全く飲まない人には明らかな違いがあると、グラフで説明しているサイトが幾つもあります。仮にこの調査結果が事実としても、味噌と癌の発症の因果として正しいかどうか、私は疑問に思います。
 
味噌汁だけでなく、どんな形でも毎日一定量の味噌を摂取すれば同じ効果があるなら味噌と癌の発症防止を関連付けることができますが、味噌汁には味噌以外にいろんな要素があるからです。
 
味噌汁には複数の野菜や豆腐や大豆製品、海藻やキノコが使われるので、植物繊維が良いのかも知れないし、豆腐や油揚げなどの大豆製品を毎日とり続けることが良いのかもしれないし、あるいはワカメなどの海藻が良いのかもません。いすれにしても味噌汁は健康に良さそうな具材を、毎日繰り返し継続して取ることができます。
 
あるいは味噌汁を飲むと、食事に必ず温かい物があり、食事の度に腹を温めることが良いのかも知れません。味噌汁以外に、毎回温かいものを添えることは難しいからです。
 
あるいは薄い塩分を摂ることは腎や碑胃の働きを助けるので、毎食薄い塩分を摂ることが免疫力を高めるのかもしれません。
 
また、味噌汁を摂るということは、ご飯と味噌汁と肉料理というメニューもありますが、概して「和食」と呼べる、あるいは普通の家庭料理の範囲の場合が多く、和食や家庭料理に使われる食品バランスが良く、反対に和食でない場合は、獣脂や糖類など健康にあまり良くない物が多いのかも知れません。
 
あるいは味噌は発酵食品で、発酵食品は血液がドロドロになる(於血)のを防ぎ、昔は何の症状でも蛭に血を吸わせて治療したように、於血は非常に広範囲の症状が出るので、発酵食品を摂ることが健康維持に良いのかも知れません。発酵食品はいろいろありますが、毎日欠かさず摂るのは、味噌汁が一番簡単です。
 
あるいは味噌汁を一日三杯以上飲む人は三食和食である場合が多く、三食和食の生活をする人は、三食洋食型の生活をする人より煩悩が少なく、病気の原因になる怒りや不満によるカンマの数と度合いが少ないからかもしれません。極端な例で言えば、毎日ギャンブルに通うような生活をする人、あるいは不倫真っ盛りの人などが、三食和食を摂っていることは考え難いからです。
 
高度成長期に肉食の増加に伴って癌患者が増えたのは、肉そのものではなく、肉食を好むと煩悩が増え、煩悩が増えると悪い(道徳に欠ける)カンマが増えたからかもしれません。
 
 
だから味噌汁を毎日飲む人にある種の癌の発症率が少ないという調査結果を、それは味噌の効果だと断定するには、少なくとも六つの疑問を「それではない」と否定する実験結果、あるいは調査結果がなければなりません。それとも私が知らないだけで、そういった要素が理由ではないことが、すべて検証済みなのでしょうか。
 
味噌は一度に極端に取り過ぎない限り害のある食品ではないので、信じて摂取しても害はないと思います。しかし日常的に味噌汁を飲んでいる人が飲んでいない人に比べて癌の発症率が低いのは、味噌が癌の発症を抑えると見るような短絡的な思考は、世界を真実のままに見ること(ヴィパッサナー)に、あるいはブッダが言われる「絶妙に考える」「如理作意」にふさわしくない人間にします。
 
また聞いただけの知識を、「これはこうだ」と断定して他人に伝えることは、八正道の正語の、「真実でないことを言う」項目に反すかもしれず、真実でないことを発言すれば、そのカンマの結果で真実でない情報が入って来るのを避けられません。真実でない情報によって行動すれば、人生は空回りが多くなります。だからテレビや雑誌やネットで得た情報の扱い方にも、八正道の項目に照らして誤りがないか、常に熟慮が必要です。